米朝首脳会談後、北朝鮮は制裁緩和の果実をもぎとったのか。
エコゴリです。
仕事の会議のせいで歴史的瞬間を見逃しました。
歴史的な米朝首脳会談
先週は、なかなか歴史的な出来事がありましたね。
アメリカのトランプ大統領と、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がシンガポールで会談を行いました。
陸マイラーとしては、ふらっとシンガポールに行って歴史的瞬間の空気を感じるのもアリだったのかな?なんて思いますね、、、。
まぁ、、、なんか色々とハードルが高そうなので現実的かどうかは疑問ですが。
それはさておき、今回の会談は、とにかく「形だけ」という言葉が似合う会談でした。
朝鮮戦争の終結に向けた平和条約の締結や拉致問題の進展など、具体的な内容はありませんでした。
結局、具体的な話し合いについてはポンペオ国務長官と北朝鮮の当局者との実務者協議に持ち越されることになりました。
以下、愚痴です。
仕事で、TR(トップリレーション)とかいうしょうもないものがあります。
こちらの「上の人間」と、得意先の「上の人間」同士が会って、話すやつです。
TRってめんどくさいんですよ。究極に。現状の報告やら分析やらをしなければなりません。まぁ、何か目的があれば良いですよ。トップダウンで決まることもありますから。
しかし、目的がよく分からない、とりあえず日程が空いてるから、みたいな手段ありきのやつが悪質です。実務担当者にとって迷惑極まりない。
無駄な仕事が増えるわけですから。
何が言いたいかというと、今回の会談もとりあえずの手段ありきのTRという側面は否めないです。
ただ、ぼくのしょうもないTRと決定的に違うのは、北朝鮮が恐らく、恐ろしくトップダウン型であること、また、未だ両者が会ったことがなかったということです。
トップダウンでしか何も決まらないのであれば、トップ同士が話をするしかありません。
また、会ったこともない人間と具体的な商談をするのは至難の技でしょう。相手がどういう人間なのか、どういう魂胆なのかを知る上では、今回の会談は必須でした。
トランプ大統領も、何やかんや言うても会わんと始まらへんやろという感じだったのでしょう。笑
そのため、会談を実施したこと自体は評価できると思います。
軍配はどちらに
今回の会談では、報道でも言われているように、アメリカの譲歩が目立ちました。
北朝鮮は、先日の板門店宣言を確認するのみで、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」には言及をしませんでした。
「朝鮮半島の完全な非核化」との文言は入れられたものの、もとより朝鮮半島には北朝鮮の核以外存在しません。
在韓米軍の核保有という無理な論法で米軍の撤退を求める北朝鮮の常套句です。
一方で、アメリカは米韓合同軍事演習を中止することを約束したり、日韓の経済支援に言及したり、なんとか「完全な非核化」という一線だけ死守したという印象です。
制裁圧力を緩めてはならないことが大原則であったのに、緩和の雰囲気を醸成してしまいました。
なぜ、これほどまで譲歩する必要があったのでしょう。形だけの会談と割り切るなら、その必要はなかったはずです。
国際社会に平和に向けたアピールをしてしまった以上、北朝鮮の思うツボです。過去に何度も繰り返した、非核化をダシに時間稼ぎを行い、並行して段階的に解除される制裁緩和の果実を享受するという、もっとも北朝鮮にとって望ましいシナリオへと向かっています。
アメリカの思惑は
アメリカ政権内でもポンペオ国務長官を筆頭に、北朝鮮との協議を重視する勢力が強まっているようです。
ですが、一体何を協議するというのでしょうか。
もちろん非核化に向けた具体的な工程を設計するのでしょうが、北朝鮮としてはとにかくそれを長期化させることを狙っています。
とりあえず会談が実現した以上、制裁を緩める必要はありませんので、段階的な制裁解除を見返りとした協議をダラダラと続けるのは間違いです。
アメリカとして協議を重ねたい思惑があるにしても、それは北を利するだけです。
ボルトン大統領補佐官の主張する早期非核化と制裁圧力の維持ができるかどうか、これが重要です。
日本の立場
慌てる必要もありません。
拉致問題や核問題が納得のいく形での解決策を提示された場合に限り、経済支援などをおこなう用意があるということを訴え続けるべきです。
最後に
改めて、あのトランプ大統領がなぜ、無難な合意に落ち着いたのかが腑に落ちません。
会談の実施自体は評価されうるのに、変に妥協的な中身になったことで台無しになるような気がするのですが、、、。
「アイツはダメだ!やっぱり制裁を強化する!」くらいのツイッターを投稿するくらいがトランプ大統領らしいのに。
それでは。